季節


風のない暖かい日には
小さな息子と
電車に揺られて
二駅先の妹の家にでかけてゆく

駅からつづく小道には
家々の花咲く庭が見え
今日は足もとに
赤い楓が散っている
息子はきれいな葉を一枚
私のポケットに入れて
覚えた道を一人で先にかけてゆく

妹は借家住まいの玄関に
生花を絶やさず
縁側には
鉢植えのゼラニウムが咲いている
息子はいとこと
おもちゃを部屋いっぱいに広げて
私はお茶をいれてもらう

平穏すぎるような
それでもどこか高いところを
淋しい風が吹いているような
明るい真昼のひととき

母と子と 姉と妹の
季節が心に沈んでゆく
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