立秋 自転車を くるっと回して 息子が歯医者に出かけていく 昨夕初めて咲いた夕顔の しぼんだ花が さわさわと 風に揺れる 届いた手紙は残暑見舞い 息子は 川に続く坂を下り 橋を渡り 茂った桑畑の間を抜け もう医院に着いたろう そうして 治療を済ますと 週間少年ジャンプを買って 十四歳の 秋立つ真昼の風景の中を ゆっくりと 帰ってくる
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