見知らぬ町で 初めての町で聞く 聞き慣れた物音 工場の機械の連続音も 誰かがどこかに行こうとしている 遠い自動車の発進音も こころなしまろやかに 別の意味合いを持つもののように 聞こえてくる 道沿いのブロック塀の中側から ふいに 幼子をあやす女の人の声がして あどけない笑い声が聞こえてきた つられて笑いかけて 思わず背筋を伸ばし 前を向き直した 今 空の高みから 一瞬に降りたったかのような 無垢な命のひびき 地球の明日を 信じさせてくれそうな その声に
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