木の実の中で


ある日うっとりと昼寝をしていた
そのままに
木の実の中で
9000万年を眠っている
甲虫の子ども
木の実はとてもおいしくて
作った穴は
体によく合っていて
時間は遠いところを流れていた

眠りなさい
何にもじゃまされず

眠りなさい
9000万年後の
今を生きている
人間の子どもたち

やわらかないのちを
のびのびと
心地よい場所で
ひとりひとりの
夢の木の実に
つつまれて

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