葉桜の道 坂道を登りきると おまえはいつもかけだして 片側につづく 段丘に作られた 桑畑の縁にそって 青空の中 遠ざかっていく 小さな靴が踏んでいく その先の畑では 弥生の遺跡が掘り出されたばかり 日常の土器や 人の指あとのついている 祭祀に使われた器や 炉には 火の色が赤く残っていた 背景にうす青くかすむ 浅間山は どれほど火を噴き どんな形をしていたのか 両親に似ない活発なおまえは どこから来たのか ひとまわりして戻ってきて 腕にからみつく 長い時間の中のひとときに 葉桜の風が吹いてゆく
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