永遠の
戻る

風に雪が混じり始めた

もう戻らなくてはと振り返ると

枯れ色の木立に

イカルがとまっていた


明るい灰色の

ふっくらとした体に映える

黄色く太い嘴を

同じ方向にむけて

数羽の群れが

舞い散るの中に霞んでいた


いつからそこにいてくれたのか


峠を越えてこの村を訪れるたび

蛇行して流れる川に架かる橋を渡り

懐かしさを誘う造りの家々が

軒を並べる道を通り

昔ながらの草花が石垣に残る

畑道を登り

村を見渡す山の林に立った

草花をさがし

鳥の声を追い

いつも同じ風景をただ嬉しく

幾度となく胸に刻んできた


の光がかすかに見える

山なみを越えて

今日も辿りついた私に

雪はふりかかり

幻のように降り立ったイカル


いつかまた訪れる日があるように

祈る私に

この村が

この林が

持たせてくれたのだ

永遠の

一枚のスケッチ画を

        







(今は行くこともない上野村の雪の中のイカル)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・