春の日 紫色の花だいこんを二本 私は摘んだ 葉のない桑畑の向こうには ひとすじの菜の花 あなたは 道ばたの水路にそってとびはね タンポポの茎のかんざしを 私の髪にさそうとする やわらかな陽ざしにつつまれて ゆっくりと歩いてゆく 家々の垣根の中も 春の花で愛らしく 二人で歩くこの時も もう心のなかでは思い出 あなたの髪にそっとさわって 八重椿の咲く角を曲がった
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