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梅の花の前で |
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梅の花の前で
梅の花の前で
立ち止まった
たまっていた
涙をぬぐった
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二月 |
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二月
二月の空に渦巻く風に
夏草の原のざわめきがある
午後の窓の明るさに
木漏れ日ゆれる
季節がひそむ
鳴りやまない
風の音を聞きながら
こころは
端から
緑に染まる
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はきだめぎく |
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はきだめぎく
伸びきった草をむしっていくと
生ゴミ処理容器のかたわらから
汗ばんだ私の顔を
つつくもの
(歯が生え始めた子は
抱き上げるたび
私の肩をキリリと噛んだ)
生えたばかりの
乳歯のような花びらが
目の前で
あどけなく笑っている |
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山道で |
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山道で
ガードレールにはりついて
よけている私のわきを
小型バスは
しずかにしずかにすり抜け
運転手さんは手を上げて
ていねいにあいさつして
通り過ぎていった
曲りくねる山道を
よろけながらいくバスを
呼びとめて
胸の中を
うちあけたかった
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ジョウビタキ |
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ジョウビタキ
玄関に飾っておいた赤い実を
食べにきて
家の中に迷い込み
出口をなくし
ガラス戸の下で
うずくまっていたことなど
もう 知らぬ顔で
前の家のアンテナにとまって
鳴いているジョウビタキ
可憐な嘴から
絹糸の声が
空に散っていく
冬の陽ざしに
まるいいのちが
光っている
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ゴンドラ |
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ゴンドラ
流れる緑の山なみを
木々の梢を
遠く現れる町を
光る川を
見せてくれる
何も言わずに
何も聞かずに
疲れた体ごと
こころごと
持ち上げ
生命の源に
連れて行ってくれる
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