願い 戻る


さざんかの花枝が伸びて

枝を差し交わす山の小道

背をかがめて歩きながら

上向けば

紅色の花も 濃い緑の葉も陽に透けて

やさしい色を見せている



花から花へ飛び移る

メジロたちの羽音が

空気を揺るがし

嬉しそうな鳴き声は

水音になって

飛び散ってくる



鳴き声を

体の中に満たしたくて

胸を押さえて

目をとじれば

木漏れ陽にからまりながら

降りそそぎ

喉もとから胸の中に

流れこんでくる



胸の底に苔むした

寂しい無数の起伏をひたし

岩清水の透明さで

飛まつを上げながら

満ちてくる


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