願い | 戻る | |
さざんかの花枝が伸びて 枝を差し交わす山の小道 背をかがめて歩きながら 上向けば 紅色の花も 濃い緑の葉も陽に透けて やさしい色を見せている 花から花へ飛び移る メジロたちの羽音が 空気を揺るがし 嬉しそうな鳴き声は 水音になって 飛び散ってくる 鳴き声を 体の中に満たしたくて 胸を押さえて 目をとじれば 木漏れ陽にからまりながら 降りそそぎ 喉もとから胸の中に 流れこんでくる 胸の底に苔むした 寂しい無数の起伏をひたし 岩清水の透明さで 飛まつを上げながら 満ちてくる |
......................... |